昨日の漫画で、夫の田宮伊右衛門は悪者で、妻のお岩はかわいそうな人という印象しかないと思いますが、「四谷雑談集(よつやぞうたんしゅう)」のお岩さんはとっても個性的でおもしろい!


まず、お岩さんは夫に毒薬を飲まされて顔が醜くなったわけではなく、21歳の時に天然痘にかかり、その後遺症で醜くなってしまった。しかもそれを気にするでもなく平気な顔で街を歩くし、自分の主張ははっきり言うという気が強い人。

これだけでもだいぶお岩さんのイメージが違いませんか?

同心(警察官的な役割の下級役人)であるお岩さんの父親が亡くなったあと、同じ同心組合の人たちがこの家の跡継ぎをどうしようと話あう。

「ほんとは婿をとって家を継ぐべきなんだろうが、こんな気が強くて醜いお岩のところに婿にくる男なんかいないだろうから、お岩を尼にするか、さもなくば奉公にやって家を出し、その上で誰でもいいから男をこの家の跡取りとしてお岩の母の世話をさせるのがいいだろう」と。

他人の家の跡継ぎのことに何を勝手な相談を!と思うかもしれませんが、この人たちも悪気があってこういう話をしているのではなく、この頃、「家=仕事」だったので、同心という仕事を継ぐ人がいなければ田宮家は絶えてしまう。お岩さんは女だから同心という仕事をできないので、仕事を継げる男を田宮家の跡取りにしたほうがいい。ということなんです。

それを聞いたお岩さんはどうしたか。

「それでは仕方ないですね。私が家を出ます。シクシク・・・」




とはならなかった!

「私は女だがこの家の跡継ぎだ!夫を迎えて跡を継がせるべきなのに、なんで実子である私を外に出し、赤の他人に父の跡を譲らねばならないんだ!しかも、私が結婚できないなんていうけど、父が死んでまだ100日もたってないではないか!昔から縁遠い女が50歳60歳になっても娘として暮らすことは珍しくない!
 私が女だから侮ったか。こうなったらお上に訴えてやる!」



「!」ばかりになってしまったが、とにかく烈火のごとくに怒った。

そこで、困った同心組合の人たちは「小股くぐりの又市」という嘘つきの名人になんとか岩と結婚する男を見つけてくれと頼む。

そこで白羽の矢が当たったのが浪人であった伊右衛門。

又市は伊右衛門に「岩様は顔はちょっと問題がありますが、性格はとっても穏やかなんですよ~」と噓をつく。それに対し伊右衛門は「結婚するのに顔は関係ない」と承諾。

結婚したものの、なんせ岩は気が強く、伊右衛門に文句ばかり。婿という立場上、また生来気の弱い伊右衛門は強くは出れず・・・。

そんな結婚生活に嫌気がさしていた伊右衛門は、上役、伊東喜兵衛の妾である美しい「お花」にほのかな恋心を抱く。お花は喜兵衛との間の子を妊娠していたのだが、喜兵衛にとってその子を認知する気はなく、お花をどこかに片づけたいと思っていたし、お花も伊右衛門に恋心を抱いていた。
つまり3者の利害が一致した。

伊右衛門からお岩を離縁できればいいのだが、田宮家へ婿に入った身であり、自分から離縁は言い出せない。田宮家を離れるということはつまり職を失うということと同じなのだ。

そこで、伊藤喜兵衛と伊右衛門はお岩が自分から田宮家を出るように画策、その策略に気づくことなくお岩は家を出た・・

というのが、昨日までの「四谷雑談集」の話。

果たしてこの後どうなるのか・・・!